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[答]塚本壽雄(総務庁長官官房審議官)

このお尋ねにはおそらく前提があると思う。私たちは従来、行政相談委員の活動について「行政相談委員は街のオンブズマンである」というふうに言ってきた。また、行政相談委員の方々も、自身の仕事を理解していただく上では(幸いにも日本では、ひょっとすると世界でも一番「オンブズマン」という言葉が普及している国かもしれないので、その意味で)、そういう使い方をしできたわけである。その結果、現状では、「市民オンブズマン」(川崎市の杉山氏のおやりになっていたオンブズマンとは違う意味のオンブズマンであるが)と「街のオンブズマン」という行政相談委員が同じ土俵に立ってしまったということになったわけである。一方において、「市民オンブズマン」の方は連日、新聞に名前が出るものだから、その意味において、「街のオンブズマン」としての行政相談委員の影が薄くなりはしないかというご懸念である。現実には、確かにそういうふうなことで申し上げているが、逆に言うと、行政相談委員の活動とか存在が、幸いにも「街のオンブズマン」という形ではそう人口に膾灸しているわけではないということであろうかと思う。

問題の整理の仕方が2つあると思っている。一つは、私どもが使っている「街のオンブズマン」というのは、今、片岡先生から説明があったように、行政と市民(あるいは住民)の間に生じた問題を仲介してこれを解決に持っていくという機能としてのオンブズマンを指して言っているわけであり、一方において、「市民オンブズマン」というのは、市民としての責任感に基づいて、本来、市民の機能である「行政の監視」という機能としてのオンブズマンを指して言っているということである。

現実には、「オンブズマン」というのは、ビガノフスキー氏の特別講演の中でも、非常に幅広い内容を持っているという趣旨の話があったが、国によって、監視を重点に置いたオンブズマンもいるし、苦情の救済を重点に置いたオンブズマンもいるわけであり、この「オンブズマンという言葉の使い方を何とかすべし」と言ってみても、どうにもならない点がある。

しかし、一般的に言えば、仲介と解決の機能というのがオンブズマン機能である。その意味では、その限りにおいて、「行政相談委員は街のオンブズマンである」という部分が薄くなるというふうには感じないし、まさにこれからも、そうした意味におけるオンブズマンというのが今の社会に必要とされているるのだということで、理解をいただきたいと思う。

一方において、要するに「行政相談委員の影が薄いのではないか」というお尋ねかとも思うわけである。私の説明の中で、国の機関とか特殊法人とか地方公共団体の皆様方との仕事の上での「連携」という話をしたが、われわれはもっと目を広く開けて、世の中におけるいろいろな問題、紛争、苦情といういうものを解決されている皆様方との「連携」というものも必要であったのではないか、端的にいうと、私たちが各地に置かれている弁護士会へ出掛けて行政相談あるいは行政相談委員というものについての説明をさせていただく機会を得るよう積極的に働きかけていたかどうかとなると、反省する点が少なくない。その意味において「影が薄いのではないか」という点につ

 

 

 

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